2012年9月14日金曜日

「ことば遊びの楽しみ」 阿刀田高



                                              平成24年8月1日(水)
by Eiji.K

◇ “ことば遊び”は、一面では日本文化の繊細さ・奥ゆかしさの象徴であると思われる。

◇ 一方、一般論でいうと、文化とは世界の中でその地域しか通用しない特殊な環境・状態をさすことであると言われている。
   特に、最近のグローバリゼーションといわれる効率性を重んじる均一化の波が世界の主流となっている中では、日本文化の特殊性を保持・継続していくことが難しくなっている。そのような現状では“ことば遊び”はますますその存在が難しくなっている。

◇ “ことば遊び”は様々な側面を持っているが、基本的には日本語を読む・書く・話すことが前提となる。しかしながら、現代の我々は、一昔前より、読むこと→テレビ等から聞かされることになり、書くこと→パソコンで打つことになり、話すこと→電話やメールで伝えること等に大きく変化している。そしてこの傾向は、今後も拡大方向にあると思われる。
特に、ITの進展とともに更にこの方向は強まると思われる。

◇ 残念ながら、日本語の方言などは、数世紀の間にすべて標準語に取って代わられることになると思われる。

◇ キーボードで漢字変換している限り、漢字のもつ構造や表音文字の奥深さ等は忘れ去られることになるだろう。

◇ あらゆる情報が氾濫し、過多となっている時代では、情報の選択・振り分けが重要なテーマであり、“ことば遊び”する余裕は生じない気がする。

◇ 以上のように“ことば遊び”=日本文化は衰退傾向にあるのではないかと思うが、世界を席巻しているグローバリゼーションが今後、限界に達し、全体の効率性より個々の尊重を重んじるような時代になれば見直し・復権はあるかもしれない。


by T.I
 

ことば遊びの形態を示し、その遊び方を楽しみ方を説明して、日本語を大切にしたいとの作者の願いと愛情がにじみ出ている本である。
日本語は音が数が少ないのが特徴で、そこを特徴にした遊び、駄洒落などが面白い。
1.同音異義語・・・貴社の記者、汽車で帰社した
          「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」
2.段駄羅・・・「甘党は 羊羹が得手 よう考えて 石を置く」(第2句がしゃれ)
3.掛けことば・・・「花の色は移りにけりないたずらに わが身よにふるながめせしまに」小野小町
4.比喩・・・お盆のような月
5.しりとり・・・犬棒かるた「花より団子」
6.数え歌・・・一番初めは一ノ宮・・・ 、別れの数え歌(加藤登紀子)
7.小倉百人一首と落語・・・「千早振る」
8.一行目で分かる名作・・・「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」雪国
9.漢字遊び・・・木へんの漢字、魚へんの漢字、漢字の国名、
10.     漢字の分解・・・櫻-二貝(階)の女が木(気)にかかる、女の無口は始めだけ
11.     なぞ(語源は何ぞ)・・・三段なぞ「日記とかけて明智光秀と解く、こころは三日で終わる」
12.     無駄口・・・何か用か九日十日、驚き桃の木山椒の木、おそれいりやの鬼子母神
13.     回文・・竹やぶ焼けた、ダンスがすんだ、(新聞紙)
14.     倒言・・・てぶくろ巡査の反対は? 三十六ぶて
15.     アナグラム・・・silent →listen、(泡坂妻夫 本名は厚川昌男)
16.     いろは歌は文化遺産だ、いろは歌の謎(柿本人麻呂)
    「色は匂へど散りぬるを わが世誰ぞ常ならむ 有為の奥山今日越えて 
浅き夢見じ酔ひもせず ん」
17.     早口と舌もじり・・・となりの客はよく柿食う客だ、なま麦なま米なま卵
18.     長ぜりふ・・・ズイズイズッコロ橋、ごまみそズイ
19.     畳語(畳文)・・・すもももももももものうち
20.     悪魔の辞典(アンブローズ・ビアス)・・・平和 - 国際関係について、
二つの戦争の期間の間に介在するだましあいの時期を指して言う
21.     国語笑辞典(郡司利男)・・・愛妻家 - 釣った魚に餌をやる男
22.     折り句・・・伊勢物語 在原業平
ら衣つつなれにしましあればるばるきぬるびをしぞ思う
23.     繰り返し・・・伝言を伝える、享年八十歳、馬から落ちて落馬して
24.     記憶術・・・√2=ひとよひとよにひとみごろ、1192年=いい国創ろう鎌倉幕府


以上

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