2012年10月3日水曜日

「舟を編む」   三浦しをん


 『舟を編む』   著者:三浦しをん
                                           2012年10月3日(水)
by Eiji.K


◇ 舟を編む=辞書は「言葉」という希望を乗せた舟

◇ 15年間かけて一つの辞書を作っていくという正に職人・芸術家のような仕事を携わる人たちの感情を拾い集め、一つのことに没頭できる情熱のすごさみたいなものは感じられる作品である。

◇ 現代では、即、成果を求める仕事がほとんどであり、上記のような長期間に渡り緻密に継続することが求められる仕事はほとんどないことから逆に新鮮さを感じるのだろうと思う。

◇ 辞書の持っている意義というものに関心がなかったが、辞書作りは、余りに変遷・変化する日本文化を言葉という土台部分で守っていく防波堤のような役割があることを知ることができた。

◇ 2012年本屋大賞 第1位、キノベス(紀伊国屋ベストブックス2012)第1 

 位の作品であり期待して読んだが、登場人物が善人ばかりで、また、辞書作りの具体的な葛藤やもっとドロドロしたところが出されていない気がして当方にはあまり面白くなかった。

◇ 家に岩波書店の「広辞苑」があるが、利用することは殆どない。もっぱらインターネットの辞書を検索することで事足りている。辞書は厚すぎ・重たすぎ、活用例が古文からの引用例が多く、時代錯誤の感がある。ただし、インターネットの元は辞書となっているが。

◇ この本の装丁色が藍色であり、シックな感じがしてよい。
 また、本カバーの下にあるイラストマンガが登場人物をよくあらわしている。

◇ 2013年春公開予定で映画化(馬締光也=松田龍平、香具矢=宮崎あおい)が直ぐに決定されたのは話題作であり、文芸作品として期待されたのだろう。