2014年5月7日水曜日

「成長から成熟へ さよなら経済大国」    天野祐吉

平成26年5月7日(水)
by Eiji.K

◇ 広告業界の話なので面白そうかなと思って読んだが、広告産業は経済的・社会的・歴史
 的な影響をまともに受ける業界であり、また、広告評論に関する多岐にわたる引用例も多
 くあることから、内容がかなり幅広くかつ、深みのあるものなので読みにくかった。

◇ 広告とは製品をいかに売るかという手段の一つであり、消費者に買ってもらうことを目
 指した存在であるということは今までも何とはなく分かっていたが、広告の歴史をみると
 改めて知らされたという感じであり、アメリカが手本であったことが分かる。

◇ この本で書かれているポイントを列挙すると、高度経済成長社会=大量生産・大量消費
 社会=地球のグローバル化=都市化=自然破壊と自然の追放=商品の計画的廃品化=欲
 望の廃品化(車のスタイル等)=センスの差別化(キンチョウのCM等)
 上記の考え方・思想はアメリカを中心とした発想であり、その大波が時間を経てそのまま
 日本に押し寄せ、飲み込まれていたことが歴史的によくわる。
  その結果、日本人は「物を大切にし、自然を敬うという感性」を喪失していった。
 こうした戦後の日本経済活動の流れの中での広告の果たしてきた役割は非常に大きかっ
 たといえる。

◇ 戦後日本の経済大国への旅は、人間的な豊かさを求める旅ではなく、物質的な豊かさを
 求める旅であった。GDPの伸び率と生活満足度は反比例する数値は印象的である。

◇ 今後の日本の行く末を「金持ち暇なし国」→「貧乏暇あり国」・生活大国にしていくと
 いう方向が必要であると言っており、考え方は共感できる。

◇ 世界の経済が行き詰まっている現状で、表題の「成長から成熟へ」と移行できる国は世
 界の中でも日本が手本になるということは、日本にとっておおいに励みになると考えられ
 る。           

◇ 特に共感できた項目
 ・テレビCMの許容割合は総放送時間の18%という規制があるにもかかわらずテレビシ
  ョッピングは生活情報番組として認められていることはおかしいとの指摘
 ・政府が出す意見広告は税金で出されているが、一方の意見だけを政府見解として出すこ
  との問題点指摘
以上

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