2014年11月12日水曜日

「気が遠くなる未来の宇宙のはなし」  佐藤勝彦

平成26年11月12日(水)
by Eiji.K

全部の項目ではないが、気になった内容や面白そうな現象等を列挙しました。

■ 氷期の到来
  現在は、間氷期の時代であるが、1500年から3万年後には氷期になる。
  地球温暖化(二酸化炭素の増加)は自然災害をもたらすと言われているが、氷期になることを 防ぐ効果もある。

■ スパーフレア
  数千年に1回程度、太陽のスーパーフレアが発生すると地球が大停電になり、原発の冷却装置等が使えなくなる恐れがある。

■ 磁極の逆転
  太陽のÑ極とS極は11年周期で逆転している。地球も過去360万年間で11回逆転している。

■ 北極星は動く
  現在の北極星はこぐま座であるが、地軸の歳差(えんさ)運動(2万6000年周期)により変更してた。

■ 恒星の動き
  動かないように見える恒星は、実際は猛スピードで別々の方向に動いている。
  太陽は、銀河系内を秒速240㎞で周回しており、一周するのに約2億年かかる。

■ 小惑星の地球への衝突
  6500万年前の恐竜を絶滅させた小惑星の衝突は直径10キロ級の天体。
  広島型原子爆弾の10億倍の規模(数千メートルの津波、衝突の冬等)は1億年に1回程度3500万年後には現実のものとなる可能性がある。→スペースガードセンターによる観測開始

■ 地球と月の関係(地球の自転は遅くなっている)
  45億年前   :地球の自転は6時間 月までの距離は2万5000㌔
  現 在     :地球の自転は24時間 月までの距離は38万4400㌔
  100億年以降:地球の自転は50日 月までの距離は55万㌔

■ 2億年後の超大陸
  プレートテクトニクス理論により現大陸はひとつになる。(6回目の1大陸)
  地球環境の激変、生命の大量絶滅→生き延びた新生物が地球の主役になる
■ 10億年後、太陽が明るくなり、地球の海が蒸発
  蒸発した水蒸気が温室効果となり水が干上がる。30億年後には400度の灼熱地獄になる。

■ 太陽が50億年後、赤色巨星に
  地球は飲み込まれるか、黒焦げになる。

■ 太陽の最後
  赤色巨星→白色矮星→黒色矮星(太陽の死) (太陽より思い恒星は超新星爆発する。)

■ 銀河の10億年後、30億年後、100億年後
  10億年後、天の川銀河は最も近い銀河である大小マゼラン銀河を吸収する。(銀河団)
  30億年後、天の川銀河とアンドロメダ銀河は衝突する。(局所銀河群)
  100億年後、超巨大楕円銀河ミルコメダは暗い恒星、褐色矮星、白色矮星、中性子星、巨大な ブラックホールで構成される天体となる。恒星(太陽等)同士の衝突はない。(太平洋に浮かぶ2つのスイカ)

■ 1000億年後
  138億年前のビッグバンにより宇宙は生まれ、あらゆる物体は互いに遠ざかっているが、一方 で物体同士の間では重力がお互いに引きつけている。具体的には、重力が膨張より強い銀河団 内では数百億年後に全ての銀河が合体し、スーパー銀河になる。しかし、1000億年後になると、スーパー銀河間は距離があるので重力の力が弱く、お互いに離れていって、観測すらできなくなる。

■ 100兆年後
  スーパー銀河内にある全ての恒星が燃え尽きてしまう。

■ 100京年後
  銀河の中心にあった巨大なブラックホールとわずかな死んだ星だけが残る。

■ 10の34乗年以降
  100京年(10の18乗年)から10の34乗年後になると、物質の基である原子が崩壊され、ブラックホールだけが残る。(ブラックホールは物質ではない。)

■ 10の66乗年以降
  残されたブラックホールも大爆発して消滅する。宇宙には全てがなくなってしまう。

■ 仮設:ビッグクランチ
  862億年後、宇宙の膨張は止まり、収縮に転じる。
  宇宙の中に物質やエネルギーがたくさんあればそれがブレーキになり収縮が始まる。

■ 宇宙の最後
  1点から生まれた宇宙は1000億年間膨張し、その後、1000億年かけて収縮し、合計2000億年の寿命を終える。最後はブラックホールに飲み込まれる。

■ 宇宙の曲率(曲がり具合)
  正=宇宙の物質やエネルギーの重力により宇宙は収縮する。
  0=宇宙の膨張速度は遅くなるが収縮はしない。
  負=宇宙は膨張し続ける。
  現在の宇宙の曲率はほぼ0である。
  天体の恒星や惑星は全て原子でできており、その合計値は5%程度しかない。
  残り95%は未知の物質(ダークマター)や未知のエネルギー(ダークエネルギー)である。

■ 加速膨張(インフレーション)
  138億年前のビッグバンの時、宇宙は急膨張したが、その後、減速膨張になったが、60億年前から第2の加速膨張をしている。これはダークエネルギーの存在による。

■ ファントムダークエネルギー(仮説)
  宇宙が膨張するに比例して密度が増える特別なエネルギーがある場合。
  暗黒(ダーク)エネルギーの密度が増えると、宇宙の膨張が加速され、天体も原子さえバラバ ラになってしまう。(ビッグリップ)

■ ビッグクランチを回避する方法  
  収縮する宇宙の中に別の子ども宇宙を作って脱出する。
  私達の宇宙もこのようにして生まれた無数の宇宙の一つにすぎない。
  我々のいる銀河宇宙は、10の200乗個もある。(マルチバース)

■ 最終的な人類の将来
  自己設計により人類は「宇宙生命体」へと進化し、全宇宙に存在する。


<感想>

◇ この本の前編部分は、宇宙の出来事や既知の知られている内容等であったので読書会の題としては面白いと思われたが、後半の部分に現代宇宙論、最新学説等が出てきて文章は平易で分かりやすいのだが、頭がついていけない部分が多かった。

◇ 特に、10の66乗年以降の話などになると実感が全くわかず、表題にある「気が遠くなる」はなしの意味が理解できた。

◇ 作者の佐藤勝彦氏は今年度(26年)の文化功労者に選ばれている。

◇ 初めに天文学の存在意義が書かれている。
  「人間と宇宙との関係を知ることは、考えの単位が数億年先のことで、人間の寿命からすると 生活における「実用性」はないが、人間は知的生命体であり、存在する意義(自分の立ち位置)を今後とも考え続けていくため、”我々はどこから来て、どこへ往くのか”を知りたいと思うことから天文学を極める意義・必要性は高い。」

◇ 我々の立っている地面は高速で動いている。
  地球の自転速度:1700㎞/時速  公転速度:10万7280㎞/時速
  更に太陽系は2億年で銀河を一周:86万4000㎞/時速
  我が銀河は近くにあるアンドロメダ銀河と合体:108万㎞/時速(30億年後、局所銀河群) 
  局所銀河群同士は更に高速で離れている。

◇ 先月の分子生物学の話(我々の体は分子レベルで数ヶ月で全ての細胞が入れ替わっている。)も踏まえると、我々は変化している空間の中の一瞬に存在していることになる。

◇ 地球規模で見ても、プレートは動いており、空の雲も常に動いている。それらが動かなくなれ ば地球は死んだことになる。地球は変化し続けていることで”生きている”といえる。

◇ 以上の事実より、宇宙は常に動いているという宇宙の原理(私的名称)を我々の人類の生活に当てはめた時、我々の生活が停滞・退歩することは宇宙の原理に反することであり、諸々の変化をいかに享受し、受け入れ、利・活用していくのかが生きていくことであり、生き延びる方法であるのではと思う。一方、停滞・退歩することも変化の一つであると言えなくはないが、悠久の宇宙の流れの中では淘汰されるのではないかと思う。


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