2015年10月7日水曜日

「虎屋 和菓子と歩んだ五百年」    黒川 光博

平成27107()
by Eiji.K


◇ 我々が親類・友人訪問、初めての面会等に菓子類を持参することは、今でも継続されている日本の伝統文化であるが、外国でも国によっては同じような習慣があるのだろうか。なお、最近の持参菓子類はケーキ等の洋菓子の場合もあるが、格式のある場合には和菓子を持参している。

◇ このような習慣は、日本文化の基礎が始まった室町時代から始まったといわれているが、貴族や大名から始まったものを庶民が取り入れたのか、その逆で庶民が実施していたものを貴族や大名が広めたのか興味のある所である。

◇ 慶弔時の引き出物に菓子類を使用することは今でも継続実施されているが、現代では経済的に裕福になったせいか、菓子の単価は低いのでもう少し高価な物品に変わっていると思われる。(結婚式の折り詰め、葬儀での葬式饅頭→お茶やタオルセット等)

◇ 虎屋のイメージは高級羊羹店である。サラリーマン時代に相手先へのおみやげとして15000円程度のものを利用したことが数回ある。

◇ 赤坂店は近くだったので知っていたが、羊羹以外に本書に出てくる数千種類もの和菓子があり、季節モノで一定時期しかないものなど歴史的な伝統菓子があることを初めて知った。

◇ 和菓子など数百年の歴史があるものは、伝聞・伝承として人から人へと伝わるものが多く、正確な文献が残されていないものが多いと思われるが、相手先が皇室等であったことから、虎屋には文献として残され保存されてきたことは文化の保持として貴重である。

◇ 虎屋の江戸時代の「掟書」が紹介されているが、商人としての心構え・立ち居振る舞いが書かれており、また、奉公人に◯◯の土産を持たせた等使用人に対する労務管理・人作りが昔から実施されていた。これらの社風が、虎屋を長く存続させている理由だろうと思われる。

以上