2016年9月14日水曜日

「大人の流儀」  伊集院静

2016年9月14日

by Tsutomu.I

2013年1月の日本経済新聞に掲載された 『心に響く「現代の名言」ランキング』1位になったのが、「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている」であり、この本を読もうとしたきっかけである。(p98)

“大人”と対比されるのが“女、子ども”  なぜだろうか?
理不尽なことを許容できない、大局的に考えられないから?・・・・・

大人とは → 他人や時代の流行に左右されない、他人を思いやることのできる人
女湯ののぞきにも、「せんない事情があると」言える人

町内、同じ地域、知り合いの店で買い物をすることは損得だけで選択してはいけないのではないか。共生ということは大切なものだと私は考える。(p72)
→ 安ければいいのか? 京都の伝統はどうやって守られてきたのかを考える。

1. すぐに役立つものはすぐに役に立たなくなる。
2. 金をすべての価値基準にするな。金で手に入るものなどたかが知れている。
3. 自分だけが良ければいいと考えるな。ガキの時はそれも許されるが、大人の男にとって、それは卑しいことだ。(p155)

ただ金を儲けるだけが目的なら企業とは呼べない。企業の素晴らしい点はそこで働く人々の人生も背負っていることだ。(p25)
→ 株主の権利ばかり主張する現在の金融資本主義に懐疑的で、今はその終焉の時代であり、IoTの普及で共生型経済が力を増していく時と思っている。

自分のことを棚に上げて、正義を振りかざす輩を嘘つきと呼ぶ。(p50)
→事情を知らず、先入観だけで判断しがちな自分を反省する。

“ゆとり教育”では子規は生まれなかった。(p55)
→ 幼い時の教育はどうあるのが良いのか、考えさせる。

喧嘩にはイデオロギーはない。民主主義も共産主義もない。性根だけである。それがわからないようでは喧嘩をする資格はない。(p69)
→ 中国の海洋進出を見ると大人の戦いの気がする。


by Eiji.K

◇ この作家のプロフィールをウィキペディアでみると実に多彩な才能であることが分かる。その個々の才能が一流であることがこの人の最大の魅力である。ディレクター、作家、作詞家等で名を成している。

男として羨ましいのは、美しい女優(夏目雅子、篠ひろ子)と結婚するほどもてる男であるということである。

このエッセイで書かれている内容は、人生訓として共感できるところはあるが、むしろ、人としての礼節・潔さ・達観のよさであり、男らしい魅力的な生き方に特に、女性は感じるのだろうと思われる。

当方がこの作家を知るきっかけはエッセイにも出てくるが、阿佐田哲也のエッセイにギャンブラー仲間としてばくち旅に同行する紀行文で知っていた。

この本で共感した点
大人が人を叱るときの心得
   ・叱ることの必要性→今の新しい人の大半は本気で叱られた経験を持たない→叱られることは辛い。→辛いものはよく効くのだ。
大人はなぜ酒を飲むのか。
・辛い大きな辛苦を味わわされた時、酒で救われた。→酒で救われることは、だれにでも共通するわけではない。
自分さえよければいい人たち
・ギャンブラーはいっさい人のために生きません。→自分さえよければよい人達である。→どう考えても最低な無駄な人である。←それでも惹かれるのはどうしてだろうかと思う。(滅びの美学か。)
企業の真の財産は社員である。
   ・会社選択→魅力的な経営者、それ以上に魅力のある社員がいる会社を選びなさい。
料理店と職人に一言申す。
・清潔、身綺麗は丁寧につながる→丁寧は仕事の基本→丁寧は人間の誠実さがこれをさせている→誠実さは生きる姿勢である。
哀しみにも終わりがあるのよ。

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