平成28年3月2日(水)
by Eiji.K
◇ 非常にネガティブな内容の小説であり、感想を述べることが難しい。
◇ 仕事を持ち、働くことで生活していくという必要性がなく、恵まれた境遇を享受できる人達の悩み・苦しみを理解しようとすることは難しい。
そのような境遇から抜け出し、自立しようとするならば共感は得られるが、単に落ちていくだけでは“かってにしたら”と思うしかない。
◇ ただし、滅びの美学というものには一種の魔力のようなものを感じるところはある。
◇ 主要な4人の登場人物評
① 母親は最後の貴族ということで年齢からみても仕方がなく、一定の理解は得られる。
② 長男直治の麻薬中毒や家のものを持ちだして切り売りする生活や、最後に自殺する理由などは理解し難い。
③ かず子の恋に恋するような非現実的な生き方も問題であり、シングルマザーとなる選択も異常である。
④ 上原のデカダンスな生活態度も共感できない。
◇ 以上のように異質な世界の理解し難い各々の苦悩を同調しようとする理由がわからない。したがって、このような小説が名作として受け継がれているのは当方の理解の仕方が悪いのだろうかと思ってしまう。
◇ または、何回か読み続ければ理解が深まるのだろうか。
以上